禁断の果実
10.甘い蜜 -前編-
次の日、二人は別々の時間に出かけたため特に接点のない朝を過ごした。
そして時は過ぎ、夕方。刹那が先に帰宅し、しばらくしてからマリナが帰宅する。
マリナはまず自分の部屋に向かう途中、刹那の部屋のドアを見て昨夜の出来事が鮮明に思い出されてしまい、思わず顔が赤くなる。
そして小走りでマリナは自分の部屋へと入っていった。
―――・・・刹那の勉強を見てあげなくちゃいけないのに・・。
体を重ね、男と女の関係になった今、どうやって刹那と接すればいいのかわからずマリナはひとり悶々と考え込む。
―――と、とにかく、勉強を見るだけだし・・いつも通りに接すればいいわよね・・・。
マリナは意を決したように、刹那の部屋へと向かったのだった。
コンコン
マリナは内心どぎまぎしながら刹那の部屋のドアのノックした。
中から刹那がドアを開け姿を現すとマリナに中に入るように促し、そしてマリナは刹那の部屋に入りドアを閉める。
特に刹那は変わった様子は無く、平然としていた。
一方でマリナは自分の鼓動が早くなるのを感じながらも、とにかく普通に接しようとする。
「きょ、今日は数学の勉強を見ればいいのよね?」
マリナは何とか言葉を発するも声が少し裏返ってしまい、刹那はそれを見て苦笑する。
「マリナ・・緊張しすぎだ。」
「えっ?・・そ、そんなことないわ。」
刹那はどこか落ち着かないマリナを見て可愛らしく思うと同時に、
なんだかあたふたしている彼女が可哀想だと思い、マリナを優しく抱き寄せた。
「そんなに緊張するな・・マリナはそのまま・・いつも通りのマリナで良い。」
マリナは刹那の声に、においに、安心感を覚え次第に平静を取り戻していくのだった。
しばらくしてからマリナは刹那から自分の体を離す。
「もう、大丈夫よ。・・・勉強を始めましょう。」
そう言ってマリナは刹那に頬をほんの少しだけ赤くして微笑んだ。
そして二人はいつも通り勉強を始めた。
「ここを積分する時に・・・。」
マリナが説明しながら無意識に顔を刹那に近づけた時だった。
刹那はいたづら心がわき、マリナの耳を甘噛みする。
「ッ・・・!・・せ、刹那っ!?」
マリナは一気に顔を赤くし、甘噛みされた方の耳をバッと手で押さえ身をひこうとした。
しかしそれをさせる前に刹那はマリナの腕を引っ張り、自分の膝の上に彼女を座らせ抱き寄せる。
そしてマリナが自由に動けないように刹那は強くギュッと抱きしめながら、自分の右腕をマリナのシャツの下の方から中に忍ばせた。
「ま、待って・・・だ、だめッ。」
刹那はマリナの言葉に構わず、ブラジャーのホックを外す。
「せ、刹那っ・・!・・勉強・・が・・・ッ。」
そして後ろからマリナの首もとにキスをしながら刹那は言う。
「それで・・積分する時にどうしたらいい?」
「ふざけないでっ、刹那ッ・・!」
マリナはとにかくこの状況をどうにかしようと策を練ろうとするが混乱して何も思い浮かばない。
そしてマリナのシャツの中で、刹那の手がマリナの胸のふくらみに触れようとした時だった。
コンコンとドアをノックする音がした。
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08.03.19