禁断の果実

5.大人と子供









あれから数日が経ち、土曜日となった。

二人はランチを終え、また木陰で刹那はマリナに膝枕をしてもらっている。

―――姉さんを困らせたくはない・・・。

その一心で、刹那は自分の気持ちに気付いたものの、今までと同じようにマリナに接していた。

だが、刹那はどうしてもあのグラハムという男のことが気になって仕方なかった。

「・・・姉さん。」

「なに?」

マリナは優しく微笑みながら刹那の方に顔を向ける。

「・・・いや、やっぱりいい・・・。」

グラハムのことがマリナは好きなのか問おうとしたが、この時間が崩れてしまうのは嫌だ、

そう思い、刹那は質問するのをやめた。

「どうしたの?」

刹那はマリナの腰に腕をまわし、ギュッとする。

「本当に・・何でもない・・・。」

マリナはまるで子供をあやすかのように刹那の背中をポンッポンッと軽く叩いてやる。

「そう。」

こうしてまた、優しい時間が過ぎていくのであった。









それから数日後の事だった。

刹那は学校からの帰宅途中、街で楽しそうに喋っているマリナを見かけた。

彼女の隣には見覚えのある男。グラハムだ。

刹那は二人を見た途端、言いようの無いモヤモヤとした感情が渦巻いていくのを感じた。

そして刹那は走って家に帰るのだった。









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