禁断の果実
6.欲情
刹那は家に帰り着くやいなや、自分の部屋に行きベッドに突っ伏した。
先程のマリナとグラハムの光景がどうしても頭の中に浮かんでくる。
枕に顔をうずめながら、他の事を考えようとするが失敗に終わってしまう。
―――くそっ・・・。
もう理性の限界だった。
姉を、マリナを困らせまいと必死に自分の気持ちを押し隠してきた刹那だったが、
ああして自分ではない他の男とマリナが一緒にいるのを見てしまい、
マリナを自分のものにしたいという願望がこみあげてきてしまったのだった。
しばらくすると、誰かが帰ってきたような音が玄関の方から聞こえてきた。マリナだ。
マリナは階段を上り、そのまま彼女の部屋へ行く。
刹那はマリナの部屋のドアがパタンと閉まる音を聞くのと同時に、ある決意をする。
そして刹那はベッドから降り、自分の部屋から出て行った。
ギィッ
刹那はマリナの部屋のドアをノックもせずに開ける。
マリナは服を着替えていた途中らしく、白く薄いブラウス1枚とスカートだけを身にまとった姿だった。
「刹那、ノックくらい・・・」
マリナが振り向こうとした瞬間、刹那は後ろからマリナに抱きつき、マリナの首元に頭をうずめる。
「・・刹那?・・・」
マリナが戸惑っていると、刹那が口を開く。
「あいつのこと・・好きなのか・・・?」
「え?」
「好きだ・・マリナ・・・愛してる。」
刹那はマリナを自分の方に振り向かせると、マリナの唇を奪った。
「・・ッ・・・!」
いったん、刹那はマリナの唇を開放してやる。
「っ・・刹那・・・!」
そして刹那はマリナをベッドへ押し倒した。
「刹那っ?!!・・・いいかげんにッ・・・」
再び自分の唇でマリナの口をふさぎながら、刹那はマリナが着ているブラウスのボタンを上から順にはずしていく。
全てのボタンをはずし終え、マリナの下着があらわになった。
刹那はマリナの唇から彼女の首元へと口付けをし、キスマークを残す。
そして刹那はマリナが泣いているのに気付いた。
一方的に自分の気持ちを押し付け、こわい思いをさせてしまったのだとハッとし、罪悪感がわいてくる。
「・・・ごめん・・姉さん・・。」
刹那はマリナの涙を手でぬぐってやると、ベッドから離れた。
「・・刹那・・・。」
彼女の涙声をきき、刹那はさらに心苦しくなる。
「・・もう、しない・・だから・・・泣くな・・。」
言いようのない感情が、刹那の心の中で渦巻いていた。
そしてそれを振り払うかのように、刹那はマリナの部屋をあとにしたのだった。
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